好きな一曲 その2
このことは、『戴冠ミサ』と呼ばれていることと矛盾するように思われます。
しかし、その後1790年になってこの作品が、1780年に作曲された『ミサ・ソレニムス』とともに、ヨーロッパ各地で行われたレオポルト2世の戴冠式の記念ミサに使われたことから、この名称が与えられたのだろうという推論によって説明されています。
その音楽は、マンハイム=パリから旅行を終えて、ますます円熟を示しつつあった彼の書法を投影するかのように豊かな広がりを見せています。
作品の規模も大きく、またホモフォニックであるとともに、きわめて器楽的な性格の強いものとなっています。
ただ、そうした充実ぶりを見せながら、ザルツブルグの教会音楽の伝統のひとつとも言えるようなヴィオラ・パートの除外という特異な楽器編成は、ここでも守られています。
さらに興味深いことは、ウィーンでの『フリーメーソンのための葬送音楽』においてさえ、このヴィオラを除外するという形は、踏襲されているのです。


